2020/07/14 21:32

木材は自然素材の代表的な存在として歓迎されている印象がありますが、実はモノづくりの現場においては意外と嫌厭されがちです。というのも、無垢の木材は魅力的ではありますが、とても癖の強い素材で、、それゆえ最初にしっかりと素材についてよく理解し、どのような使い方をするかについて合意形成をしておかないと、どんなに木が好きで使いたいという要望があったとしても、リスクを避けるために、木材を使うことをなるべく避けようとしてしまいます。どうしても取り扱いが簡単でクレームがつきにくい、表面に木目をプリントしたものを貼り付けたり、一見すると木のような樹脂などにどんどん置き換わっていってしまいます。私たちは最初に素材使いについて深く合意形成をすることで、あえて癖の強い木材というものを、大いに提案していきたいと考えています。癖の強い材料というのはその癖を受け入れた上で使うと、他とは全く違った個性を手に入れることが出来ますし、何よりもそれを使う人に、大きな満足感や強い愛着を感じさせるということを私たち自身が何度も経験してきたからです。

また私たちは使う木材がどういうものか、どのように使うのかということに加えて、その材料がどのように生産されているのかということについても知っておくことはとても有効なことだと考えています。木材は物としての見た目の美しさも重要ですが、その一方で生き物としての素性も持っているからです。そういった素性というのは、時には見た目の美しさを超えてそれを使うものに訴えかけてくる場合があります。例えば家を建てる木を探している場合、自分と同じ年の木材であったり、自分の故郷の山の木だったり、あるいは建物を建てる土地にもともと立っていた木であったりするだけで、見た目があまりよくない木であっても、愛着がうまれてきたりするものですし、むしろ見た目のきれいな高級な材料をただ単純に並べるより遙かに価値を感じられることもあるのではないでしょうか。

私たちはこれまでの経験と様々な木材事業者とのつながりを活かして、一般的な木材流通に加えより素性が知ることのできる、山や製材所、市場といったところと協力しながら皆様に、たくさんの木に囲まれた豊かな暮らしを提案していきたいと考えています。